大陸からの引揚船で母が失踪し、身寄りをなくした少年・群青は、謎の男・赤城とともに石鹼製造会社を立ち上げる。だが群青は、母の失踪に赤城が関与しているのではと疑念を抱き…。『青春と読書』連載を単行本化。

海認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。暴力と愛情、諦念と悔悟。絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。

ブラックＩＴ企業から警察に転職した刑事の藪内唯歩は、警部補の仲城流次をパートナーとし殺人事件の捜査にあたる。持ち前の粘り強さで事件を解決した先に、唯歩を待ち受ける運命は…。新米刑事が綻びから世界の欺瞞を暴く！

落ちた花は水に乗って流れたいと思い、流れる水は落花を浮かべたいと思う。互いの心が通じ慕い合う。強く思っているなら、いつかそういう日が来る。著者が現役受験生として受験勉強と並行して描いた、地方都市在住受験生の青春を描いた初恋小説。

人工肛門により生活が一変した女子大生の涼子。新たな穴と付き合いながら暮らすうちに、同じ境遇の男との奇妙な交流が始まり…。表題作のほか、第７回林芙美子文学賞受賞作「塩の道」も収録。『小説トリッパー』掲載を書籍化。

ひなまつりの日、子どもたちのところへ「ひなまつりセブン」がやってきた。ひな人形も元気に動き出し、みんなでひなまつりのごちそうを食べたり、着物を着たりして…。